CASE 09 後楽園「警察署のとなり」
土地:約42坪
建物:鉄骨造亜鉛メッキ銅板葺き4階建て
鉄骨造亜鉛メッキ銅板葺き4階建て
現状:1階は店舗2戸賃貸中、
2階から上は事務所仕様で空室

本ビルは、もともとダイビングスクール用のビルでした。その後改修され、1階が店舗として賃貸され、2~4階は事務所として貸されていました。弊社に相談があった時には、2階から上が空室になっておりました。立地は角地で目立つ立地なのですが、都心とはいえ駅から8分、坂がきつくて人通りの少ない場所でした。この立地で、2階から上に賃貸をつけるのはとても厳しいと感じ、お客様に売却の方向でお話すると、購入価格も安くないのでとにかく高く売って欲しいとのことで、希望価格を伝えられました。ひとまず弊社の取引先のネットワークで打診を行いましたが、第一声は希望価格の半額程度の返答でした。
これではどうしょうもないので、現地に行って思案することにしました。表通りからは隣接に賃貸マンションがあってその隣が警察署になっています。裏は警察署の駐車場敷地に接しておりました。これは!と思い、警察署に営業に行くことにしました。不動産の格言では、「隣の土地は借金してでも買え」と云います。既知の警察OBに紹介を頼むか悩みましたが、この立地を理解するのは現場だろうと思い、当該警察署に飛び込み営業に行きました。入口には警棒を持った警察官が立っています。悪いことするわけではないのに、とても緊張します。受付で正直に、「不動産の営業に来ました。」と伝え、地図を見せました。受付の警察官も何か感じたようで、たぶん上司らしい方と話しており、結構待たされましたが結果、「こちらから連絡します。」とのことで終わりました。すると約1週間後に、警視庁の担当部署より連絡があり、会って話を聞きたいとのことでした。お会いすると警視庁の担当曰く、警察署において角地は大切なので購入を希望したいが、東京都の予算で買うため約2年の時間がかかること、価格については鑑定価格と補償価格の合計となることを説明されました。お客様と相談して、警視庁に大凡の価格を調べていただき、それがこちらの希望に近ければこの話に乗ることにしました。売主サイドの事情として、本ビルは建物を解体し土地にしないと売れなそうなこと、店舗の立退きには時間がかかることから、了承しました。その後何度も打合せを重ね、東京都の予算承認、価格審議会等を経て、契約となりました。価格については、当初の売主希望価格よりは下がりましたが、お客様も納得する価格となりました。

2021.2解体中に撮影