高額マンション売行き鈍化

今年も東京のマンション価格の高騰がニュースとなっています。昨年末に不動産経済研究所より発表された2025年11月時点の新築マンション動向としては、東京23区の新築マンションの平均価格は12,420万円、7ヶ月連続の1億超えで、契約率は約62%となっています。契約率において好調の目安とされる70%には達しておりません。
今年東京カンテイより発表された2025年12月時点の中古マンション動向としては、東京23区の中古マンションの平均価格は11,960万円で前年同期比約37%の上昇、都心6区の平均価格では18,586万円で前年同期比約30%の上昇となっております。
ここにきて少し違った状況も見えてきました。三井不動産レジデンスと三菱地所レジデンスが分譲した麻布十番駅徒歩5分の「三田ガーデンヒルズ」、2023年2月に販売が開始され2025年3月に竣工しました。このマンションは、旧逓信省簡易保険局庁舎(1929竣工)の跡地に誕生し、南には「綱町三井倶楽部」を望む立地です。逓信省の建物の一部を残すことにより歴史的意匠を継承し、約25,200平方メートルの敷地に地上14階建て、総戸数1002戸の超高級レジデンスです。販売の時点でも大きな話題となりました。タワーマンションではないため中庭眺望を売りとして、通常階が上がるごとに価格が上がるところを階ごとの価格差をとても小さくしていました。私は高く売るためによく練られた価格設定だなととても感心させられました。このような高額にもかかわらず抽選倍率が2桁に達し、とても好調な売行きを記録しました。その平均坪単価は@1300万円でした。

竣工前から始まったリセールの動きですが、昨年はじめには、80平方メートル台の住戸で希望価格が6億5000万円から7億3000万円、坪単価では@2500万から@3000万になっておりました。
昨年後半にはレインズ(不動産会社専用の不動産物件情報共有システム)にはこのような転売物件が100戸以上掲載されるようになりました。これは異常なことです。販売物件の中にはレインズに掲載しない物件も相当ありますので、潜在的な販売物件は20%に近いと想定されます。流石に価格は下がりはじめており、坪単価@2000万前後に収れんしている模様です。今のところはそれでも転売ヤーは儲かる価格ですので、それ以上の下げには至っておりません。これは上手い投資なのか投機なのか結果はまだ出ておりません。

この状況を見てわかることは約1000戸の販売住戸のなかで20%近い住戸を転売ヤーが買っていたということです。新築時から2倍近くに上がったと思われたこの物件の中古価格ですが、実際には転売ヤーが価格を釣りあげただけで、実際のところ実勢価格(相場価格)というのははっきりしません。
ちなみに今年転売ヤ―対策として、三井不動産レジデンシャルと野村不動産が分譲する勝どき駅徒歩3分の「セントラルガーデン月島ザタワー」において、購入者が引渡し前に転売活動をした場合、手付金を没収して契約を解除することを発表しました。この発表後に検討者が約3倍に増えたそうです。これは転売を禁止するくらいリーズナブルな価格の物件と捉えられた感があったのかもしれません。
ほかのタワマンを含めた高額物件でも、3億以上の住戸の動きは悪くなっております。ここにきて高額住戸の供給が多すぎます。パワーカップルが買える価格の上限が2億と言われております。最近は株成金が大勢いるようですが、それでも3億以上買える層はそんなに多くないということでしょう。また今までは「三田ガーデンヒルズ」のように2割近い住戸を転売ヤーが購入していました。これと別に中華系の購入もありました。高市総理の国会発言以来この中華系の動きも顕著に弱くなりました。このような状況が続けば転売ヤーの動きは減り、高額物件の頭打ちの様相が見えてくることでしょう。
ただ一方でインフレおよび建築費高騰、今後の新築マンション供給の減少もあり、下がる要素は今のところ見当たりません。よって現状の価格水準が続きながら、物件による販売結果の強弱が出てくることと思います。