■ 今年は上がる?下がる?
コラムvol.4 令和2年1月30日号
不動産業界では、年末・年始の挨拶において、不動産価格が上がるか下がるかを話題にします。10年以上前に起きたリーマンショックでは、すべての計画や予定がまさに水の泡となりましたので、そういった話題に敏感です。
まずは不動産業界内のネガティブ要因を列挙します。
① 戸建ての売行きが悪い。
② 郊外のマンションの売行きが悪い。
③ ホテル平均客室単価(ADR)の下落。特に関西および簡易宿泊所。
④ 小規模(5億以下)および築古の不動産投資物件価格の下落。
⑤ 不動産投資に対する銀行の掛け目が厳しくなった。
不動産業界内のポジティブ要因
① 都心のタワーマンション、売行き好調
② 住宅賃料の上昇
③ オフィス稼働率98%超
④ オフィス賃料上昇
⑤ 10億超の不動産投資物件の売行き好調
リーマン後2018まではネガティブ要因があまり無かったのですが、ネガティブ要因が相当増えてきました。不動産価格は、グローバルな金融市場に大きく影響されます。不動産業界内の要因を挙げましたが、大きくはマネタリーベースが依然高いことにより潤い、働き方改革による共稼ぎ世帯の増加および世帯人数の減少といった社会現象による都心一極集中で上がり、一方給料が上がらないため郊外は下がる、といった状況が起きています。気になるのはマーケットサイクルが過去12~14年で来ておりますので、そろそろ下がるか?といったタイミングとなることです。不動産業界では、「これ以上は上がらないだろうが、今年は下がらないだろう。」という意見が優勢です。
株式市場で著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、「株が下落したときに売ってはいけない。むしろ買うべきだ。」と云っています。
不動産においては、金融機関の借入によるレバレッジ(テコの原理)が重要です。不景気になってしまうと金融機関の融資が止まってしまいますので、レバレッジを使った勝負(購入)が出来なくなってしまいます。
よって不動産購入の最適時期は、価格が下がりはじめ、金融機関がまだ融資する姿勢のある今かもしれません。
ウォーレン・バフェット氏はこんなことも云っています。「散髪が必要かどうかは床屋に聞いちゃいけない。」名言です(苦笑)
■ ブロッサム・トピックス
このメルマガがきっかけで某税理士さんから不動産の売却につきお悩みのクライアントAさんをご紹介していただきました。(礼)Aさんはバブルの頃に銀行に勧められてビルを建設し、返済額を減額変更しながら、今に至っています。ご自身の事業も厳しくなってきたので、ビルを売却して借金を完済したい、地元の不動産会社に相談はしているが、手取り金額がいくらになるか、売却の進め方等、全般を教えて欲しい、というものでした。弊社で簡単な調査を行いますと、建築確認の面積と登記面積が合いません。建築確認には無い地下が登記上には存在し、容積オーバーとなってしまっています。現実に地下は倉庫として使っていました。設計士に確認すると、地下はピットとして造ったが、施主が使いやすいように倉庫としても使えるようにした、とのことでした。登記を担当する土地家屋調査士は亡くなっていたのですが、知合いの土地家屋調査士に確認すると、登記法は建築基準法と違うので、登記自体は適法とのことでした。設計士がしっかりと引継ぎをしっかりしておけば問題は起きなかったと思います。Aさんが過去にお付き合いの金融機関にビルを担保に事業融資を頼んでも、「建物がちょっと・・、審査が通りませんでした。」と銀行の担当者が言葉を濁らせることがあったそうですが、業績のせいかと思っていたそうです。
本件は高く売るために、現倉庫をピットに戻して、登記を修正したうえで売却活動を行う予定です。不動産ではこんなことがよくあります。我々は、こんな物件ほどお客様に貢献できる!とやる気になります(笑)
※ちなみに弊社では、最初にコンサルティング契約を「報酬0、売却時等には仲介手数料をお支払い頂く」という内容を結ばせていただいております。よって上記のような調査手続きは、着手金等を頂かずに成功報酬で行っております。