今後の市況を占う人口動態

■ 今後の市況を占う人口動態

コラムVol.3 令和元年9月10日号

厚生労働省より「2018年(H30年)我が国の人口動態」が発表されました。それをじっくり見ていて、気づいたことをお伝えします。人口は、国の力の源泉と云われます。ご存知の通り、我が国の人口ピラミッドの裾は年々狭くなっています。

そこで項目別に諸外国と比べてみます。まずは懸念される出生率ですが、先進国の中ではさほど劣っているわけではないことが判ります。ドイツやイタリアと同等で下には韓国やシンガポールがいます。先進国の中では、上に、アメリカ、フランス、イギリスなどがいます。

婚姻率を比べてみると、こちらもヨーロッパの国よりも我が国は高くなっています。ただし欧米の国の中には、嫡出でない子の割合が5割に達する国もあるので、一概には云えなくなっています。

死亡率はというと、我が国は近年高くなっていますが、ただし年齢調整死亡率でみれば低い状態です。

結果、自然増減率は10年連続でマイナスとなっています。

我が国の人口減少という課題は、戦後の出生率が高かった時代の遺産を食い潰しつつある現状と云えます。この傾向は先進国においては世界的な傾向と云えます。よって致し方無いところもありますが、出生率についてはもう少し努力の余地はあるかと思います。

ほかに考えられる対策は「移民政策」です。すでに在留外国人は右肩上がりで増えていて、2018年には264万人と長らく約200万人だったのが5年で約3割も増えています。世界中で移民の受け入れ人数は年ごとに多くなっており、日本は移民大国であるドイツ、アメリカに次ぐ英国並みの4位に急上昇しています。


あまり大きく公表はされておりませんが、2017年4月に永住権獲得の居住要件は20年から10年に引き下げられています。今後5年もすると、永住権を取得する外国人が急増することが予想されています。

在留外国人たちは国ごとに集まって住む傾向が強く、例えば韓国人は大久保周辺、中国人は池袋や西川口周辺、インド人は西葛西周辺といった具合です。現在すでに豊島区の人口の1割以上を外国人が占めており、その半数が中国人です。最近のペースからすると、20年後には豊島区の人口の3割を外国人が占めることになります。そして北海道ニセコの地価が急騰したように、池袋の地価が上がるかもしれませんね。治安等において不安な方も多いと思われますが、経済にとってはプラスに作用することでしょう。

■ ブロッサム・トピックス

お客様が所有していたアパートが古くなり空室も目立ってきたので、建て替えか売却か検討の結果、売却を依頼されておりました。

本件は、田園都市線の某駅から8分、整形の土地約280坪です。私もお客様に喜んでもらうために高く売ろうと数々のデベロッパーに声をかけ検討してもらいました。各社ファーストタッチは良いのですが、周辺相場を調べるとトーンが下がります。田園都市線は素敵な街並みで、かつて「金曜日の妻たちへ」のロケ地となった人気の路線ですが、マンション・戸建ての供給が多く、売行きが悪くなってしまったのです。さらに本件は、一部法面のある土地のために想定以上に建築費がかかりました。そんなことで、お客様が買換えを考慮した希望価格に届かない。そこで考えたのが社宅です。バブル崩壊後、沢山の社宅が売り出されました。当時は「持たない経営」とマスコミ等で評価されておりました。現在は主に人材の確保のため、また社宅を欲しがる企業が復活しています。そういった社宅の管理を行う会社に協力をお願いしました。時間はかかりましたが、賃貸で借りたい会社が出てきました。そこでホルダーになる会社を探して、そこに買ってもらうことになりました。
前回のメルマガでもお伝えした通り、住宅は高くなり過ぎて、売行きが悪くなっております。しかし視点を変えれば、不動産のニーズはまだまだあります。こんな努力が、お客様にも高評価を頂きました。