賃貸管理のポイント

『賃貸管理のポイント』

賃貸運営代⾏の会社はタイプあり
仲介・管理を業務とする会社は、概ね「仲介専業」「管理専業」「仲介・管理併設」の3タイプに分かれます。ビルオーナーに対応するのは、「仲介・管理併設」のタイプが多いと思います。大きな物件においては、「管理専業」と「仲介専業」に各々に別々に発注しているケースもあると思います。ちなみに仲介にも、「賃貸仲介」、「売買仲介」とあり、違いがあります。

賃貸管理の仕事は、「賃貸仲介」「入居者管理」「建物管理」に分けられます。それぞれ重要な要素ですが、入居率に直結する「賃貸仲介」が収益に大きく関わります。では賃貸仲介メインに事業を行っている会社に賃貸管理を頼めばよいかというと、そう簡単ではありません。賃貸仲介は貸す側と借りる側がおります。アメリカでは双方代理は利益相反になるので禁じられておりますが、日本はそういった決まりはありません。賃貸仲介メインの会社は借りる側の賃貸仲介も自社で決めようと考え、オーナーには不利な条件を提示する可能性があります。実は大手の賃貸仲介会社はほぼすべてこの方式です。
入居率が良くても賃料が低ければ、オーナーにとっては味方とは言えないかもしれません。築年の古い物件では、設備が故障する前に先回りして修理や交換をすることで、入居者の満足度を高めて退去防止を図る等のテナントリテンション(入居者保持)も大切です。オーナーも会社の大きさや営業マンの言葉だけに左右されずに、内容を精査することが求められます。

こんな管理会社は避けた⽅がいい

1)メールの返事が遅い、レスポンスが遅い

⼊居者から退去通知が来たことをすぐに⼤家に知らせず、募集も始めない。メールで問い 合わせても、返事が来るのが1週間後。

2)消毒料や浄⽔器など、⼊居者に物品販売

オーナーに黙って、⼊居者からカギ交換費⽤を取ったり、クリーニング済みなのに消毒料 を請求したりする。あげくに浄⽔器まで。

3)協⼒業者にバックマージン要求、オーナーのコスト増

リフォームや設備点検の協⼒業者に、過度な接待やバックマージンを要求。結果的にオー ナーへの請求に転嫁され負担が増える。

4)物件情報を囲い込みし、⾃社仲介店舗を優先

⼊居者募集のために広く情報を開⽰せず、⾃社仲介店や系列業者で仲介⼿数料を取ろうとする。その結果、空室期間が延びる。

空室対策と退去防⽌の提案⼒が重要

基本業務の良し悪しもさることながら、これからの管理会社には、オーナーの収益性を⾼め、リスクを回避する提案⼒も求められる。『家賃の値下げ』以外の空室対策の提案があるかどうか。投資分析を踏まえたリフォーム提案を、論理的に説明できるか。ウェブ上で⼊居希望者に対し、物件の魅⼒を戦略的に訴求できているか、などが重要となります。

⼤⼿か地元企業かどちらを選ぶべき?

⼤⼿管理会社に任せるべきか、それとも地域密着型の管理会社に依頼すべきか、迷うオーナーも少なくない。地場に根差した活動をしている優良な管理会社があればベスト。きめ細かい対応が期待できます。⼤⼿は“冷たい管理”とも⾔われますが、組織がタテ割で担当業務以外のことはわからないため、連絡がたらい回しになりやすい。実際はどちらにしても、担当者次第というところが大きいでしょう。

管理会社を替えたい時の段取り

すでに委託している管理会社の対応に満⾜できない、改善の兆しがない場合は、思い切って「管理替え」に踏み切るのがお薦めです。新しい管理会社に⾒積りを取り、現在の業務内容と同等か確認し、金額だけでなく特に質をチェックします。管理⼿数料の値引きを求めるより、提⽰⾦額のままでプラスアルファの特典を付けてほしいと依頼した⽅が、相⼿のモチベーションも⾼まります。
依頼先が決定した後は、新しい管理会社の⽅で⼿続きを進めてもらえるので心配する必要はありません。オーナーが⾏うのは旧管理会社への連絡くらいで、あとは新旧の管理会社同志で行うことになります。

サブリースの仕組みと注意点

オーナーから1棟丸ごと借り上げて、⼀定の家賃⽀払いを保証するサブリース。10〜30 年 の⻑期契約が増えていますが、5年もしくは10年後には解約可能で、2年毎に保証家賃が改定可能とされるタイプが⼀般的です。さらに管理会社によって、契約後の免責期間(オーナーに家賃を払わない⽉数)が1〜4カ⽉あります。よって長期保証を謳いながらも、長期の保証は実質されていない。特に新築時はサブリースを付ける必要はありません。
レオパレスで問題になったように、サブリース契約を取るために、初期の保証家賃を⾼めに設定し後に減額を提案され揉めるケースが多いです。オーナー自身で、家賃相場を調べ契約約款をよく読むか、セカンドオピニオンを付けることが⼤切です。