『相続対策はいつから』
昨年20222年4月に、路線価などに基づいて算定した相続マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、再評価し追徴課税した国税当局の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で国税当局の処分を妥当とし、相続人側の敗訴が決定しました。路線価などによる画一的な評価を行うことが租税負担の公平に反する事情がある場合は、国税当局が再評価できるとの判断を下しました。2023年(令和5年)税制大綱による改正で、相続税の対象に加える生前贈与を相続開始前7年間に延長されました。
こうなってくると「相続税対策」という言葉も「操作」しているようにとられかねませんが、いずれにしろ早い対策対応が必要となります。厚労省の発表によりますと、平均寿命(2022)は男性が81.47年、女性が87.57年になります。さらに日本では生涯半数の方が認知症に罹患すると云われています。
日本の特に高齢者においては、男性が資産のほとんどを所有しています。よって平均寿命まで約10年余裕をみて、男性70歳くらいには対策を考え実行に移していくことが大切となります。私の両親は健在ですが、80代後半になります。うちは母がお勤めで経理の仕事をしていたこともあり、我が家の金庫番です。とってもしっかりしていたので安心していたのですが、疲労骨折をして入院し退院してから、急に認知症になりました。途端に実印と銀行カードが無くなりました。本人に自覚がないと、個人情報の取扱いの厳守もあり、各銀行の通帳、カード、印鑑を揃えることですら大変な手間となります。
日本ではお金に関することは語らないことがスマートとされています。それは家族の間も同様で、子供が親のお金の話をするのは親のお金を充てにしているようで良くないと考えられています。ただ高齢化社会が進み、少しずつその考えも変わってきていると思います。まずはどこにどのような資産があるか、整理から始めましょう。資産のあるご両親をお持ちの方は、特に早い時期から資産の整理をはじめてください。今の高齢者はお金持ちですので、結構な比率で相続税の対象となります。
実際相続が起きると、ややこしいのは資産とともに借入れがある方です。借入れは現実的には分割が出来ないのです。よって借金の担保となる資産はセットでお子さんのどなたかお一人に渡していく必要があります。借入が億単位ですといくら資産価値が上回っていても、相続したくない方もおられます。まだ50代60代の方でしたら、資産を増やす案も含めて、分割ができるようにすること、お子さんの特性も考慮に入れて、単純に等分でない公平を考える必要があります。